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「大局観」 羽生善治著
友人の先生からこの本をお借りした
短編集であるがそれぞれの章がつながりを持っている
将棋必勝の書ではない
昨年竜王戦挑戦3連勝の後屈辱の4連敗の後1年ががりで執筆したとのこと
彼の人生が1局の将棋であるとすれば、これからの中盤から終盤に向かう今後の生き方を問うているようでもある
日本古来からの将棋という文化が作った一人の傑作、その彼の最終局まではおそらく見続けることが出来ないのが残念である
単なる将棋指しでは勿論ない、驚くほど幅広く深い教養を修羅の毎日の中でどうやって身につけていったのかにも興味が湧く
震災報道の陰にとうとうNHK杯決勝戦を見逃してしまったが優勝したようだ
私には準決勝の対渡辺竜王戦が印象に残っている
今年の竜王戦でも残念ながら奪還はならなかったが、その中の羽生敗戦の1局に自から誘導していった
終盤に近くなった時点で工夫の変化が出た・・その後は危なげなく勝ちきった
竜王戦の本番では負けたけど本当はこれで勝っていた・・と言っているようだった
敗戦譜に対する総括、研究を繰り返し行っていたのだろう
小首をかしげながら淡々と言うのかな
「そうですね、まっ やはり努力を続ける力・・ですかね」