絶対忘れられない日がやってきた
5年前の今日私は診療を休みにして早朝小雨の中を青森市へと車を走らせていた
「絶対に保証人になるな」耳が腐るほど私に言い続けていた父は断ることが出来ないある人間の保証人になっていた
豆粒ほどの字で書かれた「物上」の文字、相談した弁護士は3枚からなる書類を見て「私が金融機関側なら8割方勝てる、これは物上とは言えないネ」と言った
知り合いの税理士も「奇跡が起こればいいですね」と言った・・奇跡が起ころうとしていた・・金融機関側が連帯保証人から父の名前を削除してくれるというのだ
父が書いた殆んど読めない代理人署名を見て金融機関の支店長は何も言わなかった
前日もう話すことも出来なくなった父がやっと書いた私の名前、あまりに苦しそうなので途中で「親父、もういいから」と言ってボールペンを取り上げようとしたが離さなかった
物凄い力だった、伊藤恵一の最後の一が書けず私が書いた
その後既に檀家でなくなったお寺から「特例ですから」と生前法名をもらい、叔父との冷めた話し合いの後八戸にとってかえした
父は意識があるのか分からない状態だったが「保証人の件は無事済んだよ、そして貴方の墓は八戸に作るから、あんな叔父と一緒の墓には入れないから」廊下まで聞こえるほどの声で耳元で叫んだ
午後4時44分父は永眠した、ホッとしたような安らかな死に顔だった
たぶん私の声は聞こえたのだろう、全ての悩み事から開放された顔だった
富を造るという自分の名前が嫌いだった父は「俺の財産をどうしようと俺の勝手だろう」と晩年は皮肉にも自分の財産に対して強い執着心を増していた
父の口癖に対し財産をもらう人間は借金も相応に分担すべきだと言う私の意見はとうとう聞き入れられなかった
妹、弟との確執・・めちゃくちゃの内容の遺言書・・もつれた釣り糸をほどくが如く忍耐と努力を強いられた5年の歳月だった・・地球の夜更けはせつないヨ
5年前の今日私は診療を休みにして早朝小雨の中を青森市へと車を走らせていた
「絶対に保証人になるな」耳が腐るほど私に言い続けていた父は断ることが出来ないある人間の保証人になっていた
豆粒ほどの字で書かれた「物上」の文字、相談した弁護士は3枚からなる書類を見て「私が金融機関側なら8割方勝てる、これは物上とは言えないネ」と言った
知り合いの税理士も「奇跡が起こればいいですね」と言った・・奇跡が起ころうとしていた・・金融機関側が連帯保証人から父の名前を削除してくれるというのだ
父が書いた殆んど読めない代理人署名を見て金融機関の支店長は何も言わなかった
前日もう話すことも出来なくなった父がやっと書いた私の名前、あまりに苦しそうなので途中で「親父、もういいから」と言ってボールペンを取り上げようとしたが離さなかった
物凄い力だった、伊藤恵一の最後の一が書けず私が書いた
その後既に檀家でなくなったお寺から「特例ですから」と生前法名をもらい、叔父との冷めた話し合いの後八戸にとってかえした
父は意識があるのか分からない状態だったが「保証人の件は無事済んだよ、そして貴方の墓は八戸に作るから、あんな叔父と一緒の墓には入れないから」廊下まで聞こえるほどの声で耳元で叫んだ
午後4時44分父は永眠した、ホッとしたような安らかな死に顔だった
たぶん私の声は聞こえたのだろう、全ての悩み事から開放された顔だった
富を造るという自分の名前が嫌いだった父は「俺の財産をどうしようと俺の勝手だろう」と晩年は皮肉にも自分の財産に対して強い執着心を増していた
父の口癖に対し財産をもらう人間は借金も相応に分担すべきだと言う私の意見はとうとう聞き入れられなかった
妹、弟との確執・・めちゃくちゃの内容の遺言書・・もつれた釣り糸をほどくが如く忍耐と努力を強いられた5年の歳月だった・・地球の夜更けはせつないヨ